借金返済|事業収益の付け替えを主張する税務署への反論

提起
裁判所
平成

主文

1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1請求

被告が原告に対し,平成12年6月30日付けでした下記1ないし5の各処分をいずれも取り消す。
1平成8年8月1日から平成9年7月31日までの事業年度(以下「平成9年7月期」という。)以降の法人税の青色申告承認取消処分
2平成9年7月期の法人税の更正処分(ただし,平成12年11月29日付け異議決定による一部取消後のもの)
3平成9年8月1日から平成10年7月31日までの事業年度(以下「平成10年7月期」という。)の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,いずれも平成12年11月29日付け異議決定による一部取消後のもの)4平成10年8月1日から平成11年7月31日までの事業年度(以下「平成11年7月期」という。)の法人税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分5 平成10年8月1日から平成11年7月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分(ただし,納付すべき消費税額104万4200円及び地方消費税額26万1000円を超える部分)並びに各過少申告加算税賦課決定処分

第2事案の概要

本件は,法人税につき青色申告の承認を受けていた原告が,平成9年7月期ないし平成11年7月期(以下,総称して「本件各事業年度」という。)の法人税等の各申告をしたのに対し,被告が,名古屋市a区○○×丁目×番×号b×階×号室(以下「本件店舗」という。)所在の韓国メンバーズクラブ「c」の事業収益が原告に帰属することを理由として,前掲の各処分(以下,総称して「本件各処分」という。)をしたので,原告がそれらの取消しを求めた抗告訴訟である。
1前提事実(当事者間に争いのない事実等)
(1)原告及びその代表者について(乙2の1ないし8,3)
原告は,昭和53年10月19日,名古屋市d区○○×丁目×番×号を本店所在地とし,eを代表取締役として,設立された株式会社である。
原告は,平成元年9月8日付けで,名古屋市a区○○×丁目×番×号に本店が移転した旨の,更に平成7年6月9日付けで,eが退任し,現在の代表者であるfが代表取締役に就任した旨の登記がされている。
その事業目的は,飲食店の経営(食事及び酒類の販売),バー・キャバレー・スナック・クラブ等の経営,不動産の売買・賃貸・管理及びこれらの仲介等であり,被告から青色申告の承認を受けて法人税の申告をしていた。
(2)本件各処分等の経緯及び内容について(甲1の1ないし5,2の1及び2,3,4の1及び2,乙13の1ないし3)
本件各事業年度における原告の法人税,消費税及び地方消費税について,原告のした確定申告,異議申立て及び審査請求,被告のした更正処分,無申告加算税及び過少申告加算税各賦課決定処分並びに異議決定,国税不服審判所長のした審査裁決の経緯及び内容は,別表1ないし3のとおりである(以下,被告のした本件各事業年度分の法人税の各更正処分(平成9年7月期及び平成10年7月期は,異議決定により一部が取り消された後のもの)を「本件法人税各更正処分」と,平成10年7月期分及び平成11年7月期分の法人税過少申告加算税の各賦課決定処分(平成10年7月期は異議決定により一部が取り消された後のもの)を「本件法人税加算税各賦課決定処分」と,原告の平成10年8月1日から平成11年7月31日までの消費税及び地方消費
税(以下「消費税等」という。)の課税期間を「本件消費税等課税期間」と,被告のした消費税等の更正処分を「本件消費税等更正処分」と,消費税等の過少申告加算税の賦課決定を「本件消費税等加算税賦課決定処分」と,本件法人税各更正処分と本件消費税等更正処分を併せて「本件各更正処分」という。)。
また,被告は,原告に対し,平成12年6月30日付けで,平成9年7月期以降の法人税の青色申告承認取消処分(以下「本件取消処分」という。)をした。
(3)被告による税務調査について
ア名古屋a税務署法人課税第2部門g統括国税調査官(以下「g統括官」という。)は,平成11年10月28日,原告の法人税等の税務調査(以下「本件調査」といい,これに従事した被告の職員を総称して「本件調査担当者」という。)を実施する目的で,cが所在する本件店舗に臨場し,hらに対する事情聴取を開始した。
その連絡を受けた原告代表者fは,同日午後7時5分過ぎころ,cに電話をかけ,g統括官に対し,「cのことは,自分が承知しているから,店にいる者に話を聞くのは差し控えて欲しい。」旨述べた。
イfは,平成11年11月17日,名古屋a税務署を訪れ,g統括官と名古屋a税務署法人課税第2部門上席国税調査官i(以下「i上席」という。)と面談した。
本件調査担当者が,cへの臨場が本件調査の一環であることを告げたところ,fは,原告がjにcの経営を委託している旨の経営委託契約書(以下「本件契約書」といい,この契約を「本件契約」という。
乙1)及び原告が本件店舗を賃借している旨の契約書等を示した上,cの経営主体はjで,原告は本件店舗を(転)賃貸しているにすぎない旨申し立てた。
これに対し,本件調査担当者は,本件契約書は写しである上に作成日付がないことから,直ちにjがcの経営者であると認めることはできないこと,cの飲食店営業許可及び風俗営業許可の名あて人がいずれも原告であること,愛知銀行本店f名義の普通預金口座(口座番号××××××,以下「f口座」という。)に,cにおいてクレジットカードが利用された場合のカード会社からの入金及び売掛金入金があること,平成11年10月28日の調査の段階では,jが経営者である旨の説明はなかったこと,f個人名義の名古屋市a区○×丁目×番×号k(以下「k」という。)が,cに出演する韓国人芸能人の寮として使用されていること,本件店舗の賃貸人にすぎない原告の代表者であるfから,税務調査は受けるが待って欲しい旨の連絡があったこと等
を総合勘案すれば,原告がcの経営者であると判断できる旨説明した。
また,本件調査担当者が,cの経営主体が原告でないとしても,f個人である可能性がある旨指摘したところ,fは,自分個人の収入は原告からもらっている給与だけで,それ以外にはないと述べた。
fは,本件調査担当者の指摘に対して,f口座は,来日後間がなく預金口座を開設できなかったjに名義を貸したものである,本件契約書によりcの経営者はjであることは明らかで,原告は賃料をもらっているだけであると反論した。
その際,本件調査担当者が,cの開業日以降の収支状況が分かるものを含めて,原告が保存する帳簿書類等を借用したい旨申し出たところ,fは,原告の帳簿類はl会計事務所に保存してあるから,見てもらって構わないと述べ,さらに,税務署がcの経営者をjと認めないのであれば,この問題は民族と民族との戦いであるから,徹底的に闘う旨発言した。
ウ本件調査担当者は,平成11年11月18日,l会計事務所を訪問し,提示を受けた原告の平成10年7月期及び平成11年7月期の総勘定元帳,平成10年分の源泉徴収簿を調査した。
エ本件調査担当者は,平成11年12月2日,cに臨場し,hらから事情聴取していた際,同人あてに電話をかけてきたfの求めによりi上席が電話口に出たところ,fは,hはcの責任者ではないから詳しいことを聞いても無駄であるし,開店準備をしているcを突然訪問し調査を行うことは営業を妨害しているとしか思えないから,必要な調査を終えたら早急に帰るべきである旨述べて電話を切った。
オ本件調査担当者は,平成11年12月10日午前11時ころ,名古屋市a区○○×丁目×番×号m×号(以下「m」という。)近くの喫茶店において,fに対して,信用組合愛知商銀(以下「愛知商銀」という。)今池支店のc・n名義の普通預金口座(口座番号××××××,以下「n口座」という。)はfが勝手に開設したものである旨oが述べていることからも,cの真実の経営者は原告であると判断できるから,保存してある帳簿を早急に提出するよう依頼したところ,fは,cの経営はjが行っているのであるから提出すべき帳簿はない,税務署はもっとよく調査してから話をしろと発言した。
さらに,i上席が,平成5年10月分から平成7年12月分,平成10年12月分から平成11年5月分までのcに係る特別地方消費税につきf名義で
申告納税していることを指摘した上で,当該申告書の記載はだれが何に基づいて申告したのかを尋ねたところ,fは,当該申告書をfの名前で申告していることは認めたものの,課税標準の計算の詳細は分からない旨述べた。
カ本件調査担当者は,平成12年2月25日,名古屋a税務署を来訪したfに対し,従前の調査経過の概略を述べた上で,本件契約書はfに依頼されて署名捺印したもので,cの賃借料及び保証金を支払ったことはない旨jが述べていること,n口座はfが勝手に開設したもので,愛知商銀今池支店からnあての郵便物が届いたら封を切らずに渡すようfから依頼されている旨oが述べていること,さらに,cに出演する韓国人芸能人の招へいについて,株式会社p(以下「p」という。)への発注者は原告であり,f所有のマンションが当該芸能人の寮として提供されていることなどを総合すると,税務署としては,原告がcの経営主体であると判断している旨伝えた。
これに対し,fは,jとoの2名はオウム真理教の信者で何をするか分からない人物であり,oに至ってはシャブ中毒だから自分が何を言っているのかさえ分からない,税務職員がこの2人の話を信じるのは到底理解できない,pとの請負契約書に原告の名前を記載したのは,j名義で風営法の許可を受けていなかったため名前を貸しただけである,本件契約書を根拠としてjがcを経営し,原告はjから受領した賃料を収入に計上しているのであるから,税務署の判断は事実を無視した判断である旨重ねて主張した。
そこで,g統括官が,fに対し,税務署の最終的な判断はいずれ伝えるが,cに係る帳簿書類等を提示することはできないか念押ししたところ,fは,cの経営に一切関係していないのであるから,存在しない帳簿を提出するように言われても,無いものは提出することができない,税務署の人間は,再三にわたり同じことばかり言っているが,何度言ったら分かるんだ,失礼じゃないか,もっとよく調査したらどうなんだと発言した。
キ本件調査担当者は,平成12年6月26日,名古屋a税務署を来訪したl税理士と面談し,税務署はcの経営主体は原告であると判断しているが,fはこれを認めず,cに係る帳簿書類等を提示しないから,青色申告承認を平成9年7月期以降取り消した上で,同月期ないし平成11年7月期の法人税等につき更正処分等を行う旨伝えた。
(4)営業許可の名義人について(乙5,7及び8の各1)
原告は,平成5年7月20日,本件店舗において「q」の名称で飲食店営業を行うにつき,食品衛生法21条1項に基づく許可(有効期限は平成9年7月20日)を受けているところ,平成5年10月18日,名称をcと変更する旨の届出をした。
その後,原告は,平成9年7月16日,代表者をf(ただし,名は「r」)と変更する旨の届出をするとともに,同月18日,同様の(更新)許可(有効期限は平成13年7月20日)を受けている。
また,原告は,昭和60年5月16日,愛知県公安委員会から,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律3条1項に基づいて本件店舗で営業することの許可を得(当時の名称は「メンバーズq」),更に平成5年11月22日,cに係る営業の許可を取得している。
(5) 芸能人招へい請負契約の契約名義人について(乙11)
cに出演する韓国人芸能人の招へいについては,原告名義でpとの間の請負契約が締結されている。
(6)特別消費税の納付名義人について
cに係る特別地方消費税の平成5年10月分ないし平成7年12月分及び平成10年12月分ないし平成11年5月分は,f名義で申告及び納付がなされている。
2本件における争点
(1)総論cの事業収益の帰属者
(2)各論1本件取消処分の適法性
(3)各論2本件法人税各更正処分及び本件法人税加算税各賦課決定処分の適法性(cに係る所得金額についての推計の必要性及び推計の合理性について)(4)各論3本件消費税等更正処分及び本件消費税等加算税賦課決定処分の適法性3争点についての当事者の主張の要旨
(1) 争点(1)(cの事業収益の帰属者)について
ア被告の主張
cの事業収益が原告に帰属することは,以下の事情から明らかである。
(ア)本件店舗の借主について
原告は,昭和53年,eを代表取締役として設立された株式会社であり,bの所有者から本件店舗を借り受け,同所において,平成4年ころまで飲食店を経営していた。
fは,平成5年ころ,eを訪れ,経営が順調に行けば原告を買い取るつもりで原告から本件店舗を借り受け,cを経営していたが,平成7年6月9日,eから原告の全株式を取得して原告代表者となったことから,原告がcを経営することになったものである。
この点について,原告は,jとの間で本件契約が締結されていることを根拠に,jがcを経営していると主張する。
しかし,本件契約書作成当時の原告代表者であるeは,本件契約書の借主(経営受託者)名義がjであるのはfの都合であり,fが店の経営を行っていたと認識しており,本件契約の特約事項第2条(乙(j)より3600万円の額でs株式会社の株式譲渡の申入れがあれば速やかに甲(原告)は受託すること。
以下「本件特約」という。)は,fがcの経営がうまくいったら原告を買い取りたいと申し入れたことに対応して規定されたものである旨述べている(以下「e供述」という。
乙4)。
また,jも,fに依頼され,内容を知らないまま本件契約書に署名したものであり,経営委託保証金600万円やリース料金を支払った事実はない旨
述べている。
もっとも,eは,その後作成,提出された陳述書(以下「e陳述書」という。
甲5)において,本件契約をjとの間で締結した旨述べているが,このような供述の変遷は不合理であり,信用できない。
したがって,原告の上記主張は根拠がない。
(イ)売上金の管理について
cの売掛金及びカード決済による売上金は,以下のとおり,いずれも原告の管理に係る銀行口座に入金され,日々の売上現金についても原告が管理している。
f口座
原告が加盟契約しているカード会社は,株式会社愛銀ディーシーカード,株式会社ミリオンカードサービス(以下「ミリオンカード」という。),株式会社ジェーシービー(以下「ジェーシービー」という。),ユーシーカード株式会社(以下「ユーシーカード」という。),株式会社住友クレジットサービス,アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.カード・サービス(以下「アメリカン・エキスプレス」という。),株式会社ダイナースクラブ(現在のシテイコープダイナースクラブジャパン株式会社)の7社であるところ,その7社中,平成9年2月12日に新規加盟申込書が受理されたミリオンカードを除いた6社について,その入金指定口座は,f口座とされ,そのうちアメリカン・エキスプレスを除いた5社については,平成8
年12月17日から平成9年9月5日にかけて,入金指定口座がn口座に変更されたが,その変更手続及び同口座の開設もfが行っている。
さらに,クレジットカード会社以外の売掛金も,平成11年2月までf口座に振込入金されている。
そして,f口座からは,平成6年2月以降,fが所有し,同人及び同人と親しい関係にあったtの自宅に準ずる居所と認められるm及びkの固定資産税及び都市計画税が,更に平成8年5月以降,mの光熱費が引き落とされていたほか,f個人名義の携帯電話料金やfの息子uの電気料金が引き落とされていたが,これらの口座振替依頼の手続はfが行っている。
また,f口座の入金総額2億0761万8299円のうち,預金通帳を持参して払出手続が行われた金額は1億9170万0974円であるところ,f自身の作成による預金払戻請求書による払出しが少なくとも1億4884万5344円,fの妻であるt作成による預金払戻請求書による払出しが少なくとも3178万6000円に上っている。
これらによれば,f口座は,fが管理していたもので,原告に帰属していたというべきである。
この点について,原告は,f口座は,jが平成5年10月25日に開店したcのカード決済資金等の受入れに必要であるため,同人の要請によって開設したもので,通帳や印鑑もjが管理している旨主張するが,f口座は,既に平成5年2月15日に開設されているし,jは,平成3年3月以前に日本に入国し,上記開店までに2年以上滞在しているから,日本国内で預金口座を開設できなかったとは考え難く,原告の上記主張は不合理である。
n口座
原告は,f口座を平成13年11月まで使用していた一方で,n口座を平成8年10月23日に開設し,同年12月17日から平成9年9月5日にかけて,原告が加盟契約をしている前記カード会社6社のうちアメリカン・エキスプレスを除いた5社について,その入金指定口座を,n口座に変更しているが,n口座も,jとoの居所を借用してfが開設し,管理している口座であることは,oの供述から明らかである。
これに対し,fは,jから口座開設のために一緒に同行することを頼まれた旨供述するが,oの上記供述の信用性が高いと認められる上,n口座は,平成8年10月22日の営業時間終了後(締め後)に開設されたところ,単にfが同行して紹介しただけで愛知商銀あるいはそこに勤めるfの長男がそこまで尽力したとは考えにくいから,f自ら開設し,その後も管理していたというべきである。
なお,平成13年6月29日には,愛知銀行本店に,fの妻であり,cのママを勤めていたt名義の普通預金口座(口座番号××××××)が開設され,前記7社に係るカード売上げはすべて同口座に入金されている。
cの日々の売上現金
cの日々の売上現金は,営業部長のhが日報を作成して管理し,毎日,tが,fとともに生活していたmの自宅へ持ち帰り,fが管理していた。
(ウ)cの経費について
前記のとおり,f口座から,平成6年2月以降,fが所有し,cに出演する韓国人芸能人の寮として使用されていたk及びmに係る固定資産税及び都市計画税が,更に平成8年5月以降,mの光熱費が,それぞれ引き落とされている。
また,原告の総勘定元帳によれば,原告は,cの共益費,看板掲出料,電力料,水道料,ガス料金及び町費を支出したとして経費に計上しているところ,本件契約書第5条は,cを経営する立場にある「乙は本件店舗の経営により発生する一切の経費(電気,ガス,水道,その他管理費,公租公課及び人件費をはじめとする一切の営業諸経費)を負担する…」と規定しているから,本件契約の当事者は原告であったというべきである。
さらに,cの売上げを基礎とする特別地方消費税も,後記のとおり,f名義で申告及び納付がなされている。
(エ)飲食店営業及び風俗営業等の許可について
原告は,平成5年10月18日付けで食品衛生法21条1項に基づくcに係る飲食店営業の許可を受けており,また,同月22日付けで愛知県公安委員会から風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律3条1項に基づくcに係る風俗営業の許可を受けている。
(オ)cの韓国人芸能人の招へいについて
cに出演する韓国人芸能人の招へいについて,pと原告との間で請負契約が締結されている。
また,pが日常使用している入国管理台帳に記載されていたメモには,cの代表者はfであり,その連絡先として,fの自宅あるいは居所であったmとその電話番号が表示されていた。
(カ)cに関する原告の会計処理について
cに係る特別地方消費税は,平成5年10月分ないし平成7年12月分及び平成10年12月分ないし平成11年5月分が,f名義で申告及び納付がなされている。
また,原告が,本件契約のとおり,本件店舗をjに1か月100万円にて賃貸しているのであれば,1年当たりの賃料1200万円が原告の本件各事業年度に係る総勘定元帳に収入として記載されねばならないところ,平成9年7月期は計上されているものの,平成10年7月期が750万円,平成11年7月期が890万円しか計上されておらず,他方,原告が本件店舗に係る賃借料として損金の額に算入した額は,平成9年7月期が910万9237円,平成10年7月期が1205万5449円,平成11年7月期が1046万9589円であり,平成10年7月期及び平成11年7月期は賃貸料を上回る賃借料が支出されたことになる。
また,原告は,前記のとおり,jから受領すべき光熱費及び町費につき,原告の損金として計上している。以上のよ
うに,原告の会計処理は,jがcの経営者であって,原告は本件店舗をリースしているにすぎないとの原告の主張と矛盾している。
(キ)本件調査の状況について
i上席が,平成11年10月28日,事前の通知なくcに臨場し,hらに質問したところ,hはfに連絡して税務署の調査官が税務調査に来訪していることを伝えていること,fは,i上席に対し,当日の調査を一切中止し,入院中の病院から退院した後に自らが対応する旨申し入れていることなどは,原告がcの経営を行い,その責任者であったことを強く推認させる。
(ク) 従業員に対する指揮監督状況について
fは,代表者尋問において,カード会社の振込口座変更届を示されるや,一見してhの筆跡であると判別していること,n口座の開設後もf口座にcの売上金の一部が残った理由についてhから報告を受けていること,また,hは,平成11年10月28日の本件調査の際,「cの経営者はjであると思うが,実質的なオーナーがだれかは知らない。
自分がそのことを話すと相手が向こうの人だから後で何をされるか分からない。」と述べているが,経営者がjでもtでも不自然であること,これらは,経営者が原告であることをうかがわせる。
イ原告の主張
事業所得に対して課税処分を行うに当たっては,その名義人が実際の経営者であるか,他の者が真実の経営者であるかは,いわゆる「実質所得者課税の原則(所得税法12条,法人税法11条)」に基づいて,判定されるべきである。
この点について,所得税基本通達(昭和45年7月1日直審(所)30)122は,「事業から生ずる収益を享受する者がだれであるかは,その事業を経営していると認められる者がだれであるかにより判定するものとする。」と指示している。
そして,営業の名義人と真実の経営者が一致しているか否かについて判断するためには,経営資金の拠出者はだれか,従業員を雇い,給料を支払っているのはだれか,営業に必要な品物の注文をし,その代金の支払をしているのはだれか等の調査,確認が不可欠であるところ,後記のとおり,cは,原告との業務委託契約に基づいて,jにより経営されていたものであり,原告は,jから本件契約に基づき月額100万円の賃料を受け取っていたにすぎない。
ところが,被告の本件調査担当者は,これらの調査を怠り,jやoの虚偽の供述や,原告の経理ミスを奇貨とし,原告をcの経営者であるとして本件各処分を行ったものであって,違法である。
(ア)本件店舗の借主について
fは,平成5年ころ,jのめいであるtと知り合いであったことから,jが,大阪から名古屋に進出してクラブの経営を始めようとした際,j及びtとともに,v不動産の紹介する賃貸物件を見て回った。
jが気に入った本件店舗は,原告(当時の代表者はe)がbの所有者から借りて飲食店向きに内装を整え,什器備品をそろえた状態で休業していたものであるが,ビルの所有者が転貸を禁止していたため,経営委託という不自然な形式で本件契約が締結された。
fは,本件契約において,本件店舗の借主であるjの連帯保証人となったにすぎない。
この経緯は,tの具体的かつ詳細な陳述書(以下「t陳述書」という。
甲12)並びにfの陳述書(甲13)及び代表者尋問の結果(以下,両者を「f供述」と総称する。)から明らかである。fが,このよう
に,jによるcの開店に協力したのは,日本生まれの特別永住資格のある外国人であり,朝鮮大学で学び,貸しビル業等を営む有力者であり,韓国の人々に頼られる立場にある者としての在日韓国人同胞に対する連帯意識若しくは義務感に基づくものである。
なお,本件特約は,fが提案したものではなくeが提案したものであり,当時は予約というほどの強いものではなかった。
ところが,平成7年にbのオーナーの倒産により同ビルが競売になり,eからfに株式譲渡の申込みがあったため,それを承諾したにすぎない。
fは,本件契約当時,将来,eから全株式を譲り受けた上,原告においてcを経営しようと予定していたものではないから,本件特約があることを理由に,cの経営者をfと推測すべきではない。
e供述は,本件契約締結の際,jと会ったことはないとしているが,これは,原告が異議を申し立てた後である平成12年10月11日に,本件調査担当者が誘導したことによるものである。
これに対し,e陳述書は,原告が審査請求をしたときの代理人であったw弁護士に提示されたものであり,e本人が平穏な雰囲気の中で,すべての記憶を整理して記載したものであって,信用性が高い。
また,jは,cの納税義務を免れるため,本件調査の際,虚偽の供述をしたものであり,oの供述も,自動車の運転免許を取得していないjがfの運転手として働いていたとか,fからcの税務申告のためにjの名義を貸してくれとの申入れがあって,これを断ったところ,fが激怒したなどとでたらめな事実を並べたものであり,信用できない。
このことは,oが裁判所から証人として呼び出されたにもかかわらず,出頭しなかったことからも明らかである。
(イ)売上金の管理及び帰属について
f口座
f口座は,大阪で韓国クラブを経営していたjが,名古屋へ進出するに当たって,住所を大阪に置いたままでは,銀行に取引口座を開設することが困難であったため,同人からの依頼を受けたfが,自分の名義で預金口座を開設し,それをjがcの営業用に使用することを認めた口座である。
その通帳及び届出印は,口座開設後にjに交付され,その後は,同人又はtが保管していた。
f個人としては,既に愛知銀行熱田支店に口座を開設済みであったから,新たにf口座を開設する必要はなかった。
f口座からの払戻手続の多くにfが関与しているのは,韓国では,預金口座の名義人が出頭して自ら払戻請求をしなければ,払戻しを受けることができないのが原則であるため,日本でも同様であると思い込んでいたためである。
その払い戻された現金は,cの営業資金として使用されている。
その後,預金払戻しのためにf自身が出頭する必要がないことが分かってからは,tがfの記名をして払戻手続を行っている。
なお,f口座が名義貸しであったため,平成8年10月ころ,n口座が開設されてからは,速やかにその口座にカード入金の振込口座が変更されているはずであったが,その後も,f口座にcの売上金が入金されていることが分かったため,fは,hに事情を尋ね,その内容と理由について報告を受けている。
n口座
n口座は,jが開設し,管理する口座である。
fは,jから頼まれて,口座を開設する際に愛知商銀に同行したにすぎない。
fがn口座を開設し,管理しているとのoの供述は,虚偽である。
cの日々の売上現金
cは,平成6年の春先から,その営業を2部に分け,第1部は午後6時から午前0時まで韓国クラブとして営業し,午前1時から午前5時まではサパーナイトクラブとして営業するようになり,内部的には独立採算の形を取っていた。
当初は,第1部はtとyが主任,第2部はjが取り仕切っていたが,平成8年ころ,jが福井県敦賀市にも韓国クラブを開店したため,oが第2部の責任者になり,さらに,平成10年にjがa区○等にスナックを開店してoと同居するようになってからは,cの第2部をj1人で取り仕切っていた。
そのため,hが日報で整理した後のcの日々の売上現金を,tがmに持ち帰って,第1部,第2部の収支の区分計算をしていたが,それはクラブのママとしての職務を行っていたにすぎず,fの関与するところではなかった
(ウ) cの経費について
f口座は,jが管理する預金口座であるから,同口座からcの経費が引き落とされているのは,当然である。
同口座からk及びmの固定資産税等が引き落とされていたのは,mはcの従業員(tを含む。)の,kはcに出演する韓国人芸能人の寮として使用するために貸すに際し,光熱費,税金等はcが負担する約束になっていたからである。
(エ)飲食店営業及び風俗営業の許可について
cに係る飲食店営業の許可及び風俗営業の許可は,いずれも原告名義で取得されているが,韓国人が経営する水商売の店の多くがこのような名義借りである。
本件店舗について,原告が風俗営業等の許可を得ていたこともあり,jが大阪に住所を置いたままでは,名古屋での風俗営業,飲食店営業の許可を取得できなかったため,原告が協力したものである。
(オ)cに出演する韓国人芸能人の招へいについて
jは,自身が芸人であって,韓国の芸能界の事情に通じていたので,自分で韓国に行き,ダンサーを選抜し,その氏名等をpに報告して,ダンサーの招へい手続を取ってもらっていた。
jが,pの社長から,招へい者は風俗営業の許可を得ている者でなければならない,地方消費税を納付していることも必要と聞かされたとして協力を求めてきたので,fは,原告名義を使用することを認め,関係書類にfが署名をしただけであって,韓国人芸能人の招へいに必要な渡航費用及び出演報酬の交付等は,jとpの間で行われていた。
(カ)cに関する原告の会計処理について
cは,平成8年ころから経営不振となり,jが本件契約に基づくリース料の支払を滞るようになったほか,水道・光熱費も滞納することが多くなった。
水道・光熱費は,原告がビルの所有者に支払うべき金額をjが負担する約定であったから,jからの支払がなくても,原告はビルの所有者に支払わねばならない。
これらの費用の支払を原告の経費に計上した場合,本来はcからの未収金として計上する経理処理をすべきであるが,失念していた。
特別地方消費税がf名義で申告・納付されていたことについては,県税事務所から,同税は飲食店営業の許可を得ている業者の名義によって申告・納付しなければならないとの指導があったため,jがf名義で申告・納付したにすぎず,原告としては,課税標準の計算の詳細は分からないというほかない。
(キ)本件調査の状況について
fは,本件調査の際,cの権利関係について承知していたため,店の者に話を聞くのは差し控えて欲しい旨述べたにとどまる。
(ク) 従業員の指揮監督状況について
fは,cの店に客として行ったり,事務的なことについても相談を受けていたため,hの筆跡を熟知していたものであって,カードの振込口座の変更手続書を見てhの筆跡と即断できたのは当然である。
また,hは,税務調査が開始された日に直接fに連絡をしたのではなく,通勤途上において,従業員から電話で税務署の人が来ていると知らされ,すぐにtに電話し,本店店舗においても,再度tに電話をかけたところ,tがfに連絡したものである。
fは,代表者尋問において,cから電話連絡を受けたことを認めたが,これは,「hから税務署の人が来ていると連絡があった」とのtからの電話を受けたことによる記憶違いの可能性がある。
さらに,被告は,hが,本件調査担当者の「真実の経営者はだれか」との質問に対し,あいまいな答えをしたことを取り上げて,hとfとの間に職務上の支配関係があると主張するが,これは根拠のない憶測であり,不合理であるだけでなく,このような片言をとらえて,実質的な経営者を原告であると即断し,j及びoの意識的な虚偽の供述を得て,cの経営者を原告とすることに固執したのは,不当である。
(2)争点(2)(本件取消処分の適法性)について
ア被告
前記のとおり,cの事業収益は原告に帰属すると認められるところ,本件調査担当者が,原告の代表者であるfに対して,平成11年11月17日,同年12月10日及び平成12年2月25日の3回にわたり,cに係るすべての帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず,fは,原告がcの経営を行っているのではないと主張して,正当な理由なく,帳簿書類の提示を拒否した(法人税法127条1項1号)。
さらに,原告がcの営業の取引のすべてを原告の帳簿に記載しなかったことは,取引の全部又は一部を隠ぺいしたことに該当し,平成9年7月期について,その記載事項の全体について真実性を疑うに足りる相当の理由があると認められる(同法127条1項3号)。
これらは,青色申告承認の取消事由に該当するから,本件取消処分は適法である。
イ 原告
本件取消処分は,原告の会計帳簿にcの営業に関する事実が記載されていないことを理由としてなされているが,cの営業は原告のものではないから,その営業に関する事実が原告の帳簿に記載されていないのは当然であり,本件取消処分は,要件の認定を誤った違法な処分である。
(3)争点(3)(本件法人税各更正処分及び本件法人税加算税各賦課決定処分の適法性)について
ア被告
(ア) 推計の必要性について
本来,法人税の課税は,客観的に存在する真実の所得金額(実額)を課税標準としてされることが原則であるから,法人税の更正もまた原則として実額調査によりされるべきである(国税通則法24条,25条)。
しかし,法人が信頼できる調査資料を有しないなどの事由により,その所得金額を実額で把握することが不可能又は困難な場合に,実額が明らかでないことを理由に当該法人に対する課税を行わないことは,国民の納税義務及び租税公平の見地から許されないから,実額調査に代わる方法として,推計による課税が認められている。
本件調査担当者は,原告代表者であるfに対し,再三にわたり,cに係るすべての帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず,fは,原告がcを経営していない旨主張して帳簿書類を提示しなかったため,cに係る所得金額を実額で把握することは不可能であった。
そのため,やむを得ず推計の方法により算定したものである。
(イ)推計の合理性について
被告は,原告の事業と同一の業種で,業態,事業規模及び立地条件等において原告と類似する同業者を抽出した上,抽出された類似同業法人の,1客席1座席当たりの売上金額の平均額(以下「平均売上金額」という。),2売上金額に対する課税仕入れに係る消費税の控除の適用ができない経費額の割合(小数点第5位以下切上げ)の平均値(以下「消費税不課税原価・経費率」という。)及び3売上金額に対する損金に算入すべき売上原価,販売費及び一般管理費の合計額から課税仕入れに係る消費税の控除の適用ができない経費額を控除した額の割合(小数点第5位以下切上げ)の平均値(以下「その他の原価・経費率」という。)を適用して,本件各事業年度におけるcの所得金額を算出した。
すなわち,被告が容易に入手し得る推計の基礎事実が
,原告及び原告の類似同業者の店舗における席数であったことから,これに基づいて推計を行ったのであり,同業者であれば,経験則上,売上金額に対する原価・経費の額の比率が近似すると考えられるから,この方法は合理的なものである。
原告の類似同業者は,別紙「類似同業者の選定基準」により選定されたものであるところ,その業種,業態については,「飲食業(バー・キャバレー・ナイトクラブ)を営む法人」で「事業所が1店舗である法人」とし,立地条件については,同業者抽出対象地区を本件店舗が所在する名古屋市a区とし,原告の納税地を管轄する名古屋a税務署管内に納税地を有する法人とし,事業規模については,抽出対象となる事業者の店舗の座席数が,cの座席数の倍以下であるとともに,半分以上の法人(いわゆる「倍半基準」)とするなど,原告との類似性を確保しており,さらに,類似同業者として抽出された法人は,青色申告をしている法人であるから,比較資料としての正確性も担保されているなど,その基準には合理性がある。
その抽出過程についても,名古屋a税務署長において,名古屋国税局長が発遣した通達に基づき,その類似同業者選定基準に該当すると認められる法人を機械的に抽出し,売上金額,消費税の課税取引にならない必要経費の額,その他原価・経費の額及び座席数を,「飲食業(バー・キャバレー・ナイトクラブ)の同業者報告書」(乙17)の記載要領に従い,正確に算出したものであり,抽出過程に恣意性は全くなく,合理性を有することは明らかである。
しかるところ,被告が選定した原告の類似同業者の1席当たりの平均売上金額,消費税不課税原価・経費率及びその他の原価・経費率は,別表4の各年分ごとに「同業者比率表」に記載したとおりであり,いずれの年分においても類似同業者として12件が抽出されており,十分に合理性を担保でき得る件数であるとともに,類似同業者の個別性を平均化するに足りるものというべきである。
したがって,被告が主張する類似同業者比率は合理的である。
 この点について,原告は,cの経営者はjという個人であるから,被告の類似同業者抽出基準は不当である旨主張するが,cの経営が原告によって行われていることは,前記のとおりであるから,上記主張は理由がない。
また,原告は,名古屋a税務署内に,従業員の大部分及びホステスの全員が韓国人であり,しかも,韓国人経営のクラブが10数社もあると考えられず,営業時間帯を2部に区分しているcの事業形態と類似しているとは考えられない旨主張するが,一般に,同業者率による比率法は,同業者の選定の妥当性と資料の正確性が担保される限り,客観性を有し,確度が高いと評価できるところ,およそ推計課税において,当該納税者の業態と完全に一致する者を選択することは不可能であり,その性質上,同業者との間に通常生じる営業条件等の差異は,同業者率の平均化の過程で,平均値の中に吸収されると解されるから,原告と同業者との間に生じる営業条件等の差異が,当該推計自体を不合理に至らせる程度に顕著な特殊事情と認められない限り,原告の個
別事情は考慮されるべきではない。
しかるところ,cにそのような特殊事情があるとはいえない。
(ウ)推計による原告の法人税等について
cに係る売上金額について
前記平均売上金額(消費税抜き。
別表51欄)にcの客座席数55を乗じ,この金額に消費税相当額(別表55及び8欄)を加算して算出したcの売上金額は,別表510欄のとおり,平成9年7月期が2億0990万7713円,平成10年7月期が1億9434万4804円,平成11年7月期が2億1438万3765円となる。
cに係る原価・経費額について
次に,前記売上金額(消費税抜き。
別表53欄)に消費税不課税原価・経費率(別表46欄)を乗じて消費税不課税原価・経費額を算出すると,別表512欄のとおり,平成9年7月期が3569万7811円,平成10年7月期が3215万0184円,平成11年7月期が4007万9556円となる。
同様に,前記売上金額(消費税抜き。
別表53欄)にその他の原価・経費率(別表47欄)を乗じ,この金額に消費税相当額(別表516及び19欄)を加算して,その他の原価・経費額を算出すると,別表5<21>欄のとおり,平成9年7月期が1億4183万4643円,平成10年7月期が1億3712万9695円,平成11年7月期が1億4779万6169円となる。
そして,上記両者を合算したcに係る原価・経費額は,別表5<22>欄のとおり,平成9年7月期が1億7753万2454円,平成10年7月期が1億6927万9879円,平成11年7月期が1億8787万5725円となる。
cに係る所得金額について
前記の売上金額からの原価・経費額を控除したcの所得金額は,別表5<23>欄のとおり,平成9年7月期が3237万5259円,平成10年7月期が2506万4925円,平成11年7月期が2650万8040円となる。
本件法人税各更正処分の適法性について
本件各事業年度における原告の所得金額は,その法人税確定申告書に記載された欠損金当期控除前所得金額(別表61欄)に,前記の所得金額,cに係る水道光熱費及び町費(これらは前記に含まれている。
別表63欄),株式取得のための借入金に係る返済金の不当額(当該費用はfの個人的な費用であることから,原告の損金に算入することができない。
別表64欄)を加え,ここから売上高(原告がcからの家賃収入として計上した金額は,計上すべき理由がない。
別表66欄)を減算し,最後に欠損金の当期控除額(別表610)を控除した金額(別表611欄)となる。
これに,法人税法66条に定める税率を乗じて計算した納付すべき法人税額は,別表7記載のとおりとなるから,その範囲内でした本件法人税各更正処分(異議決定後のもの)は,いずれも適法である。
本件法人税加算税各賦課決定処分の適法性について
前記のとおり,本件法人税各更正処分はいずれも適法であるところ,原告が本件各事業年度の法人税を過少に申告していたことについて,国税通則法65条4項に定める正当な理由はないから,同法65条1,2項に基づく本件法人税加算税各賦課決定処分も適法である。
イ原告
(ア) 推計の必要性について
cは,jが経営者であり,その事業収益は原告に帰属するものではないから,その所得金額を,同業者比率によって推計する必要はない。
(イ)推計の合理性について
cは,原告が経営しているものではないから,その所得金額を同業者比率によって推計することについての合理性はない。
さらに,被告は,類似業者として,名古屋a税務署管内で,バー・キャバレー・ナイトクラブを経営する青色申告法人10数社を選定しているが,cの経営は個人であるjであって,法人ではないから,この選出は不当である。
また,cの経営者,従業員の大部分,ホステスの全員が韓国人であるが,このようなクラブが対象地区内に10数社もあるとは考えられない。
しかも,cは,営業時間帯を2部に分け,それぞれ主任のママを別に定め,その営業内容も異なり,経費の分担も内部的には区分していたところ,選定された業者が,このような営業形態に類似していると想像することはできない。
(ウ)推計による原告の法人税について
前記のとおり,cの事業収益は原告に帰属するものではないから,推計による課税の可否を論ずるまでもなく,本件法人税各更正処分は違法であり,よって,これを前提とする本件法人税加算税各賦課決定処分も違法である。
(4)争点(4)(本件各消費税等更正処分及び本件消費税等加算税賦課決定処分の適法性)について
ア 被告
(ア)本件消費税等課税期間における消費税及び地方消費税について消費税額について
消費税の課税標準額は,平成11年7月期のcに係る前記売上金額2億1438万3765円(別表81欄)に,確定申告に係る家賃収入5480万6696円(別表82欄)及び雑収入1万7800円(別表83欄)を加算し,これから原告がcからの家賃収入として計上している890万円(別表84欄)を減算した2億6030万8261円(別表85欄)に105分の100を乗じた上,国税通則法118条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた2億4791万2000円であり,これに100分の4を乗じて算出した991万6480円(別表88欄)が消費税額である。
課税仕入れに係る支払対価の額と控除対象仕入税額について
原告は,消費税法37条1項の簡易課税制度の適用を受ける旨の届出を提出しているが,この適用を受けられるのは基準期間における課税売上高が2億円以下である課税期間に限られるところ,原告の課税売上高は,平成9年7月期の推計による売上高2億0990万7713円に,確定申告に係る家賃収入3702万2527円及び雑収入400円を加算し,cからの家賃収入として計上された2040万円を控除した2億2653万0640円となるので,上記適用を受けることができない。
また,cの仕入れに係る消費税額の控除は,原告がcの帳簿書類を保存していないので,同法30条7項により,認められない。
したがって,原告の課税仕入れに係る支払対価の額は,平成11年7月期の法人税確定申告における販売費及び一般管理費4027万6865円(別表89欄)から役員報酬1172万円(別表810欄),給料手当168万円(別表811欄),減価償却費237万9031円(別表812欄),保険料210万4361円(別表813欄)及び租税公課100万2524円(別表814欄)を減算した2139万0949円(別表815欄)に105分の100を乗じて計算した2037万2333円(別表816欄)となる。
これに100分の4を乗じた81万4894円(別表817欄)が控除対象仕入税額となる。
なお,原告は,消費税の計算において,収入金額,必要経費の額をいずれも推計で計算しておきながら,仕入税額控除の計算について帳簿・書類の不備を理由に控除を認めないのは,消費税課税の本質に反し,事業者に過大な負担を課するので不当である旨主張するが,仕入税額控除は,原則として,事業者が課税仕入れの相手方の氏名又は名称,課税仕入れの年月日,課税仕入れに係る資産又は役務の内容,課税仕入れに係る支払対価の税額等を記載した帳簿及び書類の作成者の氏名又は名称,課税資産の譲渡等の年月日,課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容,課税資産の譲渡等の対価の額,書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称等を記載した請求書等を保存している場合に限り認められている(消費税法30条7項ないし9項)。このことは,
消費税法30条1項の定める仕入税額控除が,取引の各段階で課税されて税負担が累積することを防止するため,納税義務を負担する事業者が納付すべき消費税額から前段階の取引に係る消費税を控除することとしたものであることからも明らかである。
しかるところ,fは,本件調査担当者の再三の提示要求にもかかわらず,cに係る帳簿書類等の提示に応じなかったのであるから,これらの行為は,消費税法30条7項において規定する課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿を保存しない場合に該当し,また,保存することができなかったことについて災害その他やむを得ない事情の証明もないから,cに係る消費税額の計算において,課税仕入れ等に係る消費税額を控除することはできない。
消費税の納付税額について
原告の納付すべき消費税は,の金額からの金額を控除した上で,国税通則法119条1項を適用して,100円未満の端数を切り捨てた910万1500円(別表818)となる。
地方消費税の納付税額について
地方消費税の課税標準は,地方税法72条の77及び72条の82条により,cの金額となり,その納付すべき税額は,同法72条の83により,課税標準に100分の25を乗じた227万5300円(別表820)となる。
(イ)本件消費税等更正処分の適法性について
本件消費税等更正処分は,原告の本件消費税等課税期間における消費税及び地方消費税の納付すべき税額の範囲内でなされているから,適法である。
(ウ)本件消費税等加算税賦課決定処分の適法性について
前記のとおり,本件消費税等更正処分は適法であるところ,原告が本件消費税等課税期間の消費税及び地方消費税を過少に申告していたことについて,国税通則法65条4項に定める正当な理由はないから,同法65条1,2項に基づく本件消費税等加算税賦課決定処分も適法である。
イ 原告
原告は,本件消費税等課税期間に消費税の課税対象となる「資産の譲渡等」を行ったことはないから,消費税及び地方消費税の課税も違法であって,取り消されるべきである。
また,収入金額・必要経費の額をいずれも推計で計算しながら,控除対象仕入税額の計算について帳簿・書類の不備を理由に控除を認めないのは,消費税課税の本質に反し,事業者に過大の負担を課するものであって違法である。

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第3当裁判所の判断

1 争点(1)(cの事業収益の帰属者)について
(1) ある税が納税者の担税力に即して課税されるべきことは,租税一般に通ずる基本原理の一つであるところ,法人税は,その営む事業から生ずる所得に着目して課せられる税としての基本的性格を有する(法人税法5条参照)から,納税義務者は,当該事業収益の帰属主体である(だれが帰属主体であるかは,基本的には当該事業収益が法律上帰属するか否かによって判断されるが,その者が単なる名義人にすぎない場合は,実質的にこれを享受する者に対して課税されることにつき,法人税法11条参照)。
そして,一般に,ある事業から生ずる収益の帰属者は,その事業を開始し,維持・継続する権限を有する者,すなわち経営者と一致すると考えられるから,事業収益の帰属者がだれであるかは,当該事業が営まれている事業所を巡る権利関係,事業から生じた売上金の管理形態,経費の負担関係,従業員に対する指揮監督状況などを総合して,判断されるべきである。
(2)そこで,cの経営者がだれかについて,以下検討する。
ア本件店舗の借主について
(ア)前記前提事実(1)のとおり,原告は,昭和53年10月19日に設立され(代表者はe),平成元年9月8日付けで,b所在地に本店が移転した旨の登記がなされているところ,証拠(乙4,5)によれば,原告は,bの所有者から本件店舗を借り受け,昭和53年10月16日から平成4年10月20日までの間,食品衛生法21条1項に基づく営業許可を受けて「メンバーズq」を営業していたこと,しかるに,原告は,平成4年3月18日,月額リース料200万円の約定でその経営をBに委託する旨の契約を締結したが,1年余ほど経過したころ,Bはリース料の支払を怠り,閉店したこと,以上の事実が認められる。
そして,被告は,平成5年ころ,fが原告から本件店舗を借り受け,cを経営していたが,平成7年6月9日,eから原告の全株式を取得して,その代表者となったことから,原告自身がcを経営することになった旨主張する。
そこで,本件店舗の借主について判断するに,eは,平成12年10月11日,その経営する株式会社z本社事務所において,名古屋a税務署職員に対し,「本件店舗を株式会社Aから借りていたが,Bが店を閉めて2,3か月後,店を探していたfを不動産屋から紹介された。
fと店のママになるというC(t)が,本件店舗を見に来た。
原告は,fに本件店舗を貸すことになり,本件契約書を取り交わした。
契約書ではjとの間の契約になっているが,fの都合でそうなっているのであり,fが店をやりたいと言ってきたのでfが
店をやっていると思う。
本件特約は,fから,もし店がうまくいったら会社を買いたいが,幾らで売ってくれるかと聞かれたので,その株式の代金を3600万円とした。
cを始めて1年以上たってから,fから特約のとおり3600万円で買いたいと言ってきたので,株式を売った。
契約書の第6条の保証金600万円は内装費を借り手が支払うという趣旨だが,合計700万円ぐらいかかったと思う。
内装工事代として平成5年9月21日に最初の入金があるので,このころ,本件契約をした。
契約の際,jと会ったことはなく,fが,jの署名をしたものを持参した」旨,被告の上記主張に沿った供述をしているところ,このe供述は,利害関係のない第三者による具体的かつ詳細なものである上,当時の帳簿(乙23)には,平成5年9月21日から同
年10月27日まで合計600万円の改装費がfから原告に入金され,更に同年11月15日,100万円の追加の改装費が入金された事実が記載されていること,平成7年に,fがeから原告株式を譲り受け,その結果,同年6月9日付けで,eが退任し,現在の代表者であるfが代表取締役に就任した旨の登記がなされていること(前掲前提事実(1))などの客観的事実と符合し,また,後記のとおり,本件契約の当事者とされているjの供述とも一致することなどを考慮すると,信用性が高いと認められる。
(イ)この点について,原告は,本件店舗は,原告(当時の代表者はe)がビルの所有者から賃借し,飲食店向きに内装を整え,什器備品をそろえたものを休業状態にしていたものであるが,大阪から名古屋に進出してクラブの経営を始めようとしたjが,これを借り受けて営業を開始するに際し,ビルの所有者から転貸借を禁止されていたため,事業委託契約の形式を取って本件契約が締結されたが,fは,在日韓国人の有力者としての義務感等に基づき,その連帯保証人になったにすぎず,本件特約もeから提案され,eからの申込みによって原告の全株式を買い取ったものである旨主張するところ,なるほど,本件契約書には,原告が,jに対し,本件店舗の備品等を毎月100万円で事業委託する旨及びfがjの連帯保証人である旨記載されている上,
f供述及びt陳述書にも,「jは,tの叔父であり,来日後大阪の韓国クラブで働いていたが,名古屋に来ているうちにfと知り合い,平成6年(1994年)春ころ,大阪府D区○○の貸店舗をf名義で借り,更に開業資金も借りて韓国クラブを開店したが,同店舗のビルが競売になったため,程なくしてこれを明け渡し,fに名古屋で韓国クラブを営業するのに適当な物件を探すことを頼んだ。
jは,v不動産から紹介された本件店舗が気に入り,e社長と引き合わせてもらい,数回にわたり,日本語の読み書きに不自由なjのためにtとfが同席して話を進め,本件契約を締結した。
cの名前もjがソウルの出身であったことから同人が自分で考えた。
契約締結時に支払った契約保証金600万円は,jが大阪の店を整理したりして持っていた資金から支
払った。」旨,原告の上記主張に沿った内容の記載がある。
そして,原告は,e供述は本件調査担当者による誘導の結果,作成されたものであると主張するところ,その後に作成されたe陳述書には,「平成5年6月ごろ,以前から面識のあったfを介して,jが本件店舗で韓国クラブを経営したい意向であるとの申込みを受けた。
jとは面識もなく,日本語での話はできても,日本語での読み書きはできないとのことであったので,fが連帯保証することを条件に,平成5年7月10日付けで経営委託契約を締結した。
その後,私どもの事情で,原告そのものをfに譲渡することになった。
このような経緯で,私は原告やcと無関係になったため,実際の経営がどうなったか,正確には知らない。
名古屋a税務署の職員に対し,cは,fか原告が経営しているとはっきりと述べたつもりはない。」旨の記載がある。
(ウ)しかしながら,e陳述書によっても,eが本件契約の当事者とされたjと実際に顔を合わせたとは記載されていないし,かえって,本件契約締結の際,「fがリース条件などについて,積極的に協議に参加しておられたことから,漠然とfはjのスポンサー的な立場の人と考えていたのは事実であり,このことが記憶に残っていて,cの営業はfかfの経営するsが行っているようなニュアンスの話が出たかもしれません。」旨記載され,fの果たした役割が通常の連帯保証人の枠をはみ出たものであることが示唆されている。
また,原告の主張するように,fが本件店舗の借主であるjの連帯保証人にすぎないのであれば,eは,本件店舗の借主の単なる連帯保証人にすぎないfに対して原告株式の譲渡を申し入れたことになって不合理である上,本件特約の「本契約の有効期限内に乙(借主)より金3600万円の額で原告の株式譲渡の申入れがあれば速やかに甲(貸主)は受託すること。」との文言と整合しない。
さらに,本件契約の当事者とされているjは,平成11年12月13日,その住所地において名古屋a税務署の職員に対し,「自分は,名古屋市a区○×丁目×番×号の○○ビル×階において,メンバーズクラブEを経営している。
本件契約書の署名は自分のものであるが,日本語が読めないため内容は全然分からない。
fに依頼されてこれに署名押印した。
原告に対して,本件店舗の内装等の使用料や経営委託保証金を支払ったことはない。」旨断言している(乙10)ところ,証拠(甲12,13,17,原告代表者)によれば,jにとって,fは,めいであるtと婚姻し,同居している相手である上,諸々の援助を受けた,いわば恩人であると認められるから,jが,殊更にfに不利な虚偽の供述をする理由は見当たらないと考えられる(原告は,jがc
に係る納税義務を免れるために虚偽の供述をしたと主張するが,cは,既に平成8年ころから経営不振に陥り,リース料はもちろん,水道・光熱費の支払にも事欠くようになったとの原告の主張が正しければ,果たして納税義務を恐れる必要がjにあったのかは疑問といわざるを得ない。)。
(エ)したがって,これらを総合すれば,本件契約締結当時における本件店舗の借主は,jではなく,fであったと認めるのが相当である。
イ売上金の管理及び帰属について
(ア)f口座について
f口座がfによって開設されたこと,同口座からの払戻手続の多くにfが関与したこと,以上の事実は原告の自認するところであり(fは,代表者尋問において,上記払戻手続に関与していない旨供述するが,原告は,その後提出された平成15年4月8日付け原告準備書面(5)の第1の2でfの関与を明言している。),これに証拠(甲10,12,13,18ないし24,乙18,19,21,22の1及び2,25,26の1及び2,27,28の1ないし3,29,原告代表者)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。
f口座は,本件契約締結前であり,cの開店(平成5年10月25日ころ)より半年以上前である平成5年2月15日にfによって新規開設されている。
原告が加盟契約を締結したカード会社は,株式会社愛銀ディーシーカード,ミリオンカード,ジェーシービー,ユーシーカード,株式会社住友クレジットサービス,アメリカン・エキスプレス,株式会社ダイナースクラブの7社であるところ,その7社中,平成9年2月12日に新規加盟申込書が受理されたミリオンカードを除いた6社について,その入金指定預金口座は,f口座とされ,クレジットカード会社以外の売掛金の振込口座も,平成11年2月までf口座に振込入金されている。
f口座から預金通帳を持参して払出手続が行われた総額1億9170万0974円(なお,入金総額は2億0761万8299円)のうち,少なくとも1億4884万5344円(77.6パーセント)はf自身が,また少なくとも3178万6000円(16.6パーセント)はtが預金支払(又は払戻)請求書を作成しており,両者の割合を加えると,94.2パーセントに達している。
払い戻された現金のほとんどは,tがcの日報を基に作成した金銭出納帳に「〇〇銀行入金」と記帳されてcの営業資金に充てられている。
f口座からは,平成6年2月以降,cに出演する韓国人芸能人が寮として使用していたk及びf所有のmの固定資産税及び都市計画税が,平成8年5月以降,mの電気,ガス料金が引き落とされている。
また,同口座から,f個人名義の携帯電話料金,fの長男のu名義の電気料金が引き落とされており,その口座振替手続はfが行っている。
mは,tが居住していたマンションであるところ,fはtと平成11年11月婚姻し,その後別居しているが,本件調査時点においては,fがmに頻繁に出入りし,mが財産分与を原因としてfの元妻のxに移転されてからも,tとfとは,mにおいて親しい関係を保っていた。
以上の事実によると,f口座には,cの売上金が入金され,同口座からの払出手続も,大部分がfないしその意を受けたと考えられるtによって行われているところ,同口座からcに係る経費が支出されていることが明らかであるから,同口座は,原告代表者であるfに帰属し,fがその管理を行っていたと判断するのが相当である。
この点について,原告は,1f口座は,fが来日間もないjのために口座を開設して名義を貸したものであり,通帳はt若しくはjが管理していたこと,2fが払戻手続の多くに関与したのは,韓国では名義人が出頭して払出しをしなければならないことから,日本でも同様と思い込んでいたためであり,その後,預金払戻しのためにf自身が出頭する必要がないことが分かってからは,tがfの記名をして払戻手続を行っていること,3同口座から引き落とされている光熱費は,mはcの従業員(tを含む)の居住用に,kはcに出演する韓国芸能人の寮として使用するために賃貸し,光熱費,税金等はc(j)が負担する約束であったから当然である旨主張し,これに沿うf供述,t及びhの陳述書(甲11ないし13,原告代表者)がある。
しかしながら,1f口座は,本件契約締結及びc開店の相当前に,fによって開設されていること,2jは,日本に入国後クラブで働いた後,大阪において韓国クラブを1年足らずの間経営していたのであるから,外国人登録原票を移すことができなくても,c開店に際し,預金口座を開設することが困難であるとは認め難いことなどに照らせば,同口座が,cを経営しようとするjのために開設されたとは認め難いこと,3fは,在日年数が長く,息子が金融機関に勤務していることからすると,日本における預金払戻手続の実際を知らないはずがなく,仮に,fがそれを知らなかったとしても,原告は,預金払戻しのためにf自身が出頭する必要がないことが分かってからは,tが手続を行っている旨主張するが,tが払戻しを行うようになってから以降も
fが払戻しをしている事実を説明することができないこと(そもそも,前記のとおり,fは,代表者尋問において,自ら払戻手続に関与したことはない旨,その主張と矛盾する供述をしている。),4本件店舗の借受けについての連帯保証人にすぎないと主張するfが,上記のように多数回にわたって,jのために払戻手続に関与することは不自然であること,5f口座からは,fないしその親族が支払義務を負う債務が引き落とされていることなどを総合すれば,原告の主張に沿う前掲各証拠は採用できず,他に前記判断を覆すに足りる証拠はない。
(イ)n口座について
証拠(甲7,12,13,18ないし22,乙6の1及び2,8の2,30の2及び3,原告代表者)によれば,原告が加盟契約していたカード会社の6社のうち,アメリカン・エキスプレスを除いた5社について,平成8年12月17日から平成9年9月5日にかけて,入金指定口座がn口座に変更され,平成9年2月12日,ミリオンカードの新規加盟に伴い,n口座を入金口座として指定されていること,カードによる振込口座の上記変更は,hが手続を行ったこと,変更についてはfの要請があり,変更が終了したことについてhはfに報告をしていること,n口座から払い戻された出金額についても,そのほぼ同額の金額が,払い戻された時期にcの金銭出納帳に「〇〇銀行現金」として記帳されていること,以上の事実が認められる。
そして,証拠(乙21)によれば,n口座の開設等について,oは,「n名義の預金口座を開設する際,fから住所地等を借用させて欲しい旨の依頼があったこと,fがnという名義を勝手に作ったこと,同口座の通帳は,一度だけtに依頼されて現金を引き出しに行ったことがあるが,出した現金と預金通帳はtに渡した。」旨明確に供述しているところ,この供述は,n口座からの払戻金のほとんどがt作成に係るcの金銭出納帳に銀行からの現金として記帳されていること,後記のとおり,金銭出納帳はfが管理していたと認められることと整合していることに照らしても,信用することができる。
そうすると,n口座についても,fによって開設され,f若しくはその指示を受けたtが管理を行っていたと認めるのが相当である。
この点について,原告は,n口座は,jが開設し,管理する口座であり,oは虚偽の供述を行っている旨主張し,これに沿う証拠(甲13,17,原告代表者)もある。
しかしながら,同口座開設の届出は営業時間の終了した後になされており(乙30の1),愛知商銀今池支店としても,開設者との間で長年の取引関係があるなどの事情があってこのような便宜を図ったと考えられること,fの息子が信用組合愛知商銀に勤務していること(原告代表者)などに照らすと,同口座の開設に当たってfが重要かつ積極的な役割を果たしたものであると認められ,上記のとおり,その後の管理にもfが関与していると認めるのが相当であるから,oが,証人としての呼出しを受けたにもかかわらず,当法廷に出頭しなかったことのみをもって同供述が虚偽であると
判断することはできず,結局,前記判断を覆すことはできない。
(ウ)cの日々の売上現金について
cの日々の売上げに係る現金は,hが日報で整理した後,tが日報とともにm持ち帰って記録していたことについては,原告の自認するところである(fは,代表者尋問において,この事実を否定する供述をしているが,原告は,その後提出した平成15年3月10日付け原告準備書面(4)の第2の3(1)及び(3)で明言している。)ところ,前記認定のとおり,fは,mに頻繁に出入りし,tと親しい関係を有していたのであるから,上記現金は,jではなく,fによって管理されていたと認めるのが相当である。
もっとも,原告は,cは,平成6年の春先から,その営業を2部に分け,第1部は午後6時から午前0時まで韓国クラブとして営業し,午前1時から午前5時まではサパーナイトクラブとして営業するようになったこと,当初は,第1部はtとyが,第2部はjが取り仕切っていたが,平成8年ころ,jが福井県敦賀市にも韓国クラブを開店したため,oが第2部の責任者になり,さらに,平成10年にjがa区○等にスナックを開店してoと同居するようになってからは,cの第2部をj1人で取り仕切っていたこと,そのため,hが日報で整理した後のcの日々の売上現金を,tがmに持ち帰って,第1部,第2部の収支の区分計算をしていた旨主張し,これにおおむね沿う証拠(甲12,13,17)がある。
しかしながら,証拠(甲18ないし22,乙33)によると,t作成に係るcの金銭出納帳には,f口座から払い戻された現金のほとんどが入金され,「f交際費」や「fゴルフ」などfに関わるものと思われる出金が多額かつ多数回にわたってなされた事実が記載されていること,反面,cの金銭出納帳上,入金や経費を第1部と第2部に区分していることをうかがわせる記載は見当たらないこと,以上の事実が認められ,これらを総合すれば,原告の主張に沿う前掲各証拠は採用できず,他に前記判断を覆すに足りる証拠はない。
ウcの経費負担について
1前記前提事実(6)記載のとおり,cの売上げを基礎とする特別地方消費税の平成5年10月分ないし平成7年12月分及び平成10年12月分ないし平成11年5月分は,f名義で申告及び納付がなされていること,また,2証拠(乙14の1ないし3,15)によれば,原告の総勘定元帳においては,cの共益費,看板掲出料,電力料,水道料,ガス料金及び町費が原告の経費(賃借料)として計上されており,水道光熱費と町費の合計額は,平成9年7月期において209万0718円,平成10年7月期は250万8250円,平成11年7月期は227万5590円に達していることが認められること,さらに,3前記のとおり,cの従業員若しくは芸能人が居住していたk及びmに係る固定資産税及び都市計画税,mに係る光熱費が,fが管理してい
たと認められるf口座から引き落されていること,以上の事実が認められ,これによれば,cの必要経費を原告が支出,負担していると判断することができる。
この点について,原告は,1特別地方消費税がf名義で申告及び納付がなされていることは,県税事務所から,同税は飲食店営業の許可を得ている業者の名義によって申告及び納付すべしとの指導があったために,jがf名義で行ったにすぎない,2cは平成8年ころから経営不振となり,jがcの水道料等を滞納するようになったところ,原告がビルの所有者に対して支払った水道料等を経費として計上した場合,cからの未収金として会計処理すべきことを失念したものである,3f口座はjに名義貸しした口座であるから,そこからcの経費の引き落としがあるのは当然である旨主張する。
しかしながら,1県税事務所からの指導によったとの主張については,cの飲食店営業の許可は,前記のとおり,原告名義で受けていたから,f名義で申告及び納付がなされることの説明にはならず,また,韓国人芸能人の招へいのためにかかる処理が必要であった旨のf供述は,外国人芸能人の招へいと特別地方消費税の申告・納付とが関連づけられていないことに照らすと,到底,納得できるものではないし,2本来の会計処理を失念していたとの主張については,数年間にわたってかなりの金額の水道光熱費を支出,負担しながらも,cからの未収金として計上せず,実際にこの金額をcから回収した形跡も見当たらないことに照らすと,単なる会計処理上のミスでは説明できるものではなく,3f口座が原告管理に係る口座であることは前記認定のとお
りであるから,結局,原告の上記各主張はいずれも採用できず,上記判断を覆すことはできない。
エ飲食店営業及び風俗営業の許可について
前記前提事実(4)記載のとおり,cに係る食品衛生法21条1項に基づく飲食店営業の許可及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律3条1項に基づく風俗営業等の許可が,いずれも原告名義で取得されているところ,この事実は,cの営業主体が原告であることを推認させる一事情となるというべきである。
この点について,原告は,本件店舗について原告名義で上記各営業許可を取得していたところ,大阪に住所を置いたままのjが名古屋での同各許可を取得できなかったため,原告が協力したものである旨主張するが,証拠(甲12,13,原告代表者)によれば,jは平成8年ころ福井で韓国クラブを開店し,平成10年ころには名古屋市内でスナックを開店,営業していることが認められ,これによれば,遅くともその時点では飲食店営業の許可や風俗営業の許可を受けることが可能であったと考えられるにもかかわらず,本件各事業年度以降も原告名義の利用を認めたまま放置する合理的理由は見当たらないから,原告の上記主張は採用できない。
オ 韓国人芸能人の招へいについて
前記前提事実(5)記載のとおり,韓国人芸能人の招へい,興行を請け負うpとの契約は,原告を当事者として締結されているところ,この事実も,cの経営主体が原告であることを推認させる一事情となるというべきである。
この点についても,原告は,pの社長から風俗営業の許可取得者が招へい者とならねばならない等の条件が示されたため,原告名義を使用することを認め,関係書類にfが署名をしたにすぎず,出演報酬等はjが支払っていた旨主張する。
しかし,証拠(乙11)によれば,pが使用している入国管理台帳には,cの代表者として「f」の名前が記載されている上,寮の連絡先としてkの住所と電話番号,「ママ(f)」の連絡先としてmの場所及び電話番号が記載されている事実が認められるところ,原告の主張するように,jが実質上の契約当事者であって,原告は単なる名義人にすぎないのであれば,jの連絡先こそ記載されてしかるべきと考えられるから,原告の上記主張は採用できない。
カcに関する原告の会計処理について
原告がcの経営をjに委託する旨の本件契約が実体を反映しているのであれば,原告の本件各事業年度に係る総勘定元帳(乙14の1ないし3)には,年間1200万円の賃料収入が計上されていなければならないところ,賃(貸)料収入として平成9年7月期には1200万円が計上されているものの,平成10年7月期が750万円,平成11年7月期が890万円しか計上されておらず,未収金としての処理もされていない。
この点につき,甲16(税理士l外の上申書)には,cから払ってもらえず,請求する意思はないとのfからの説明を受け,値引き又は債権放棄と判断して処理した旨の記載があるが,単に請求する意思がないというだけで収入に掲げない扱いをすることが経理処理として誤りであることは,税理士であるならば当然熟知しているはずと考えられるから,上記処理を合理的に説明するものとはいえない。
また,仮にfの説明したとおり,cからの支払が滞っていたのであれば,原告の上記総勘定元帳には,本件店舗に係る賃借料として,平成9年7月期は910万9237円,平成10年7月期は1205万6559円,平成11年7月期は1046万9589円がそれぞれ損金として計上されており,平成10年7月期及び平成11年7月期は,cに関し,原
告が受領した賃貸料を上回る賃借料を支出したことになるから,原告としては,かかる損失の発生について何らかの対応策を講ずるのが当然と考えられるところ,単に請求する意思はないとして放置していたというのは,不可解というほかない。
そもそも,実際に原告が上記賃料の支払を受けていたのかについて,fは,代表者尋問において,振込入金されていたものであって,書証として提出する用意があると述べながら,その提出がないことに照らすと,賃料支払の実体があるかは極めて疑わしいというべきである。
以上の検討によれば,賃料の支払と引換えにcの経営をjに委託したとの本件契約は実体を欠くとの疑いを深めるといわざるを得ない。
キ本件調査の状況について
前記前提事実(3)記載のとおり,平成11年10月28日,g統括官が本件調査のためにcに臨場した際,連絡を受けたfから電話が入り,応対に出たg統括官に対し,「cのことは,自分が承知しているから,店にいる者に話を聞くのは差し控えて欲しい。」旨述べて,当日の調査を終了させ,自らが対応する旨申入れがなされたこと,同年12月2日,本件調査担当者がcに臨場してhらから事情聴取していた際,fから電話が入り,電話口に出たi上席に対し,hはcの責任者ではないから詳しいことを聞いても無駄であり,開店準備をしているcを突然訪問し調査を行うことは営業妨害としか思えないから,必要な調査を終えたら早急に帰るべき旨申入れがなされたこと,以上の事実が認められるところ,fの上記行動は,fがcを支配し,hら従業員に
対しても指揮監督権限を有しているとの前提に立つことによって初めて理解することができるというべきである。
すなわち,原告の主張を前提とすれば,cの経営者であるjがこのような行動に出ることはあり得ても,単に本件店舗をjに賃貸しているにすぎない原告の代表者の行動としては,あまりに立ち入りすぎているとの印象を免れない。
この点について,原告は,cの店舗の権利関係について,fが承知していたため,上記のような申入れをしたと主張し,これに沿うf供述があるが,税務調査は,店舗の権利関係にとどまらず,営業の実態等を調査することを目的としているのが通常であるから,fによる上記行動の説明として合理性を有するとはいえない。
(3)以上を総合すれば,本件店舗を借り受けてcを経営していたfが,平成7年に本件店舗の貸主である原告の全株式を譲り受けて,その代表取締役に就任したことに伴い,原告がcの経営を引き継いだものと認めるのが相当であり,原告はjにcの経営を委託し,本件店舗を賃貸していたにすぎないとの原告主張は,不自然,不合理で採用できないというべきであるから,本件各事業年度におけるcの事業収益は原告に帰属するものであると判断するのが相当である。
2争点(2)本件取消処分の適法性について
前記のとおり,cの事業収益は原告に帰属すると認められるところ,前記前提事実(3)記載のとおり,本件調査担当者は,平成11年11月17日,同年12月10日,平成12年2月25日の3回にわたり,fに対し,cに係る帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず,fは,jがその経営者であって,原告は経営委託ないし本件店舗の賃貸を行っているにすぎない旨主張して,上記帳簿書類の提示に応じなかったことが認められる。
この事実によれば,被告は,原告が,財務省令で定めるところに従って,帳簿書類の備付け,記録,保存を行っていたことを確認することができず,むしろ,これらを怠っていたと推認するのが相当であるから,法人税法127条1項1号所定の青色申告の承認の取消事由が存在したと認められるとともに,原告が作成していた
帳簿書類は,その取引の一部が隠ぺいされていたと評価することができるから,同条1項3号所定の取消事由の存在も肯認することができる。
そうすると,本件取消処分は適法というべきである。
3 争点(3)本件法人税各更正処分及び本件法人税各賦課決定処分の適法性について
(1)cに係る所得金額に関する推計の必要性について
課税は,本来,客観的に存在する真実の所得金額(実額)を課税標準としてされることが原則である。
しかしながら,納税者が常に正確な帳簿書類を作成,保管し,税務調査に対して提出するとは限らず,かかる場合は,実額課税を行うことが極めて困難となるが,だからといって課税を行わないことは,租税負担の公平の見地から許されるものではないから,法は,推計による課税を認めている(法人税法131条,所得税法156条)。
前記のとおり,cは原告が経営し,その事業収益は原告に帰属すると認められるところ,前記前提事実(3)記載のとおり,本件調査担当者は,平成11年10月28日から平成12年2月25日までの間,原告代表者であるfに対し,再三にわたり,cの経営者は原告であると判断した根拠を説明し,cに係る帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず,fは,jがcを経営している旨主張してこれを拒み,さらに,cに臨場した本件調査担当者に対し,hは責任者でないから詳しいことを聞いても無駄であるし,開店準備をしているcにおいて調査を行うことは営業妨害に当たるから早急に帰るべきであると電話で述べるなど,本件調査に協力する態度を示さなかったというのであるから,被告がcに係る原告の所得を実額で把握することは,著しく困難であった
と認めざるを得ない。
したがって,本件につき推計の必要性があったと判断するのが相当である。
(2) 推計の合理性について
被告は,別紙「類似同業者の選定基準」に基づいて,原告の事業と同一の業種にして,業態,事業規模及び立地条件等において原告と類似する同業者を抽出し,抽出された類似同業法人の,1客席1座席当たりの平均売上金額,2消費税不課税原価・経費率及び3その他の原価・経費率を適用して,原告の本件各事業年度のcの所得金額を算出しているところ,一般論としては,このように同業者率を用いた比率法は,同業者の類似性及び資料の正確性の確保,抽出過程における恣意性の排除,選定件数の合理性などの要件を充足する限り,合理的なものと評価することができる。
そこで検討するに,まず,客席1座席当たりの平均売上金額を推計の基礎事実とした点については,経験則上,それが事業の規模,ひいては事業による売上金額を示す客観的な指標として是認できる(例えば接客に当たる従業員数を基礎事実とすることも考えられるが,時期によって変動することがあり得るし,売上げに対する貢献度も個々の従業員によって異なり得るから,座席数を基礎事実とするよりも優れているとはいえない。)ことに照らすと,合理性を有すると判断することができる。
そして,別紙「類似同業者の選定基準」は,同業者選定の基準として,まず,「飲食業(バー・キャバレー・ナイトクラブ)を営む法人」,「事業所が1店舗である法人」及び「年間を通じて事業を継続している法人」としており,原告の事業との業種及び業態の同一性が確保されていると認められる。
また,同業者抽出対象地区については,cが所在する「名古屋市a区」に事業所を有する法人にして,原告と同様に「名古屋a税務署管内に納税地を有する法人」としており,立地条件の点でも同一性が確保されていると認められる。
さらに,店舗における座席数が,cの座席数55席(乙12)の倍以下で,かつ半分以上のいわゆる倍半基準を用いて抽出対象となる事業者を選定しているところ,この基準は,事業規模の近似性確保の点において合理性を有
すると認められる。
その上で,抽出対象法人をいわゆる青色申告者に限ることによって,その申告内容の正確性を確保している上,逆に,兼業者や訴訟中の者などを除外することによって,特殊要因に基づく異常性を排除しているから,上記選定基準は,全体として合理的なものというべきである。
そして,証拠(乙16,17)によれば,被告が原告の本件各事業年度の所得金額及び翌期に繰り越す欠損金の額を推計するに当たって,名古屋国税局長は,原告の納税地を管轄する被告にあてて通達を発し,別紙「類似同業者の選定基準」に該当する法人の1売上金額,2消費税の課税取引とならない必要経費,3必要経費等の額,4座席数等について報告するよう求めたところ,上記条件を満たす者として,別表4記載のとおり,機械的に類似同業者が抽出されたことが認められ,これによれば,類似同業者の抽出過程に恣意性が入り込む余地はないと判断することができる。
また,その抽出業者数は,いずれの年分においても12社に達しているから,それぞれの有する個別性を平均化するに足りる類似同業者数を確保しているというべきである。
この点について,原告は,名古屋a税務署内に,従業員の大部分及びホステスの全員が韓国人であり,しかも,韓国人経営に係るクラブが10数社もあるとは考えられず,また,営業時間帯を2部に区分しているcの事業形態と類似しているとは想像できない旨主張する。
しかしながら,同業者率による比率法は,同業者の選定の合理性と資料の正確性を通じて,できる限り実額に近い所得を把握しようとするものであり,およそ当該納税者の業態と完全に一致する者のみを選択することまでは求められていない(そのようなことが不可能であることは明らかである。)上,類似同業者との間に通常生じる営業条件等の差異は,同業者率の平均化の過程で,平均値の中に解消されると考えられるから,類似同業者との間の営業条件等の差異が,かかる平均化によ
っても解消されないと考えられる程度の顕著な特殊事情と認められない限り,当該推計が合理性を欠くとはいえない。
しかるところ,クラブの業態は様々であって,その営業時間を2部に区分することや従業員の大部分やホステスの全員が韓国人であることは,売上金額若しくは経費率等に顕著な影響を及ぼす特殊事情であるとは認め難い。
したがって,被告による推計方法は,全体として合理性を有するというべきである。
(3)推計による原告の法人税等について
別表4に記載された,類似同業法人の,1客席1座席当たりの平均売上金額,2消費税不課税原価・経費率,3その他の原価・経費率を基に,本件各事業年度におけるcに係る売上金額及び原価・経費額を算出した上,前者から後者を控除してその所得金額を算出すると,争点(3)についての被告の主張(ウ)ないし記載のとおり,平成9年7月期が3237万5259円,平成10年7月期が2506万4925円,平成11年7月期が2650万8040円となることが計数上明らかである。
そして,原告の法人税確定申告書に記載された欠損金当期控除前所得金額にcに係る所得金額を加えた金額を基に,争点(3)についての被告の主張(ウ)f記載の操作を加えて,本件各事業年度における原告の所得金額を算出すると,別表611欄記載の金額となり,これに法人税法66条所定の税率を乗じて納付すべき法人税額を計算すると,別表715欄記載のとおりとなる。
そうすると,本件法人税各更正処分(異議決定による一部取消後のもの)は,その金額の範囲内であるから,いずれも適法というべきである。
(4)本件法人税加算税各賦課決定処分の適法性について
前記のとおり,本件法人税各更正処分はいずれも適法であり,原告は納付すべき税額を過少に申告していたことになるところ,原告においてcの所得を計算の基礎とせず過少に申告していたことについて,国税通則法65条4項に規定する正当な理由は見当たらないから,同法65条1項及び2項の規定に基づいてした本件法人税加算税各賦課決定処分もいずれも適法である。
4 争点(4)本件各消費税等更正処分及び本件消費税等加算税賦課決定処分の適法性について
(1)本件各消費税等更正処分の適法性について
前記認定の平成11年7月期のcに係る売上金額2億1438万3765円を基に,争点(4)についての被告の主張(ア)記載の操作を加えて算出した消費税額は,991万6480円であり,これから同に記載した控除対象仕入税額81万4894円を控除し,国税通則法119条1項を適用して100円未満の端数を切り捨てて算定した納付すべき消費税は,910万1500円となる。
また,これを課税標準として地方税法72条の83所定の税率を乗じて算出した地方消費税の金額は,227万5300円となる。
そうすると,本件各消費税等更正処分は,その金額の範囲内であるから,適法というべきである。
なお,原告は,消費税の計算において,収入金額,必要経費の額をいずれも推計で計算しておきながら,帳簿・書類の不備を理由にcに係る仕入税額控除を認めないのは,消費税課税の本質に反し,事業者に過大な負担を課するので不当である旨主張するが,仕入税額控除は,原則として,事業者が課税仕入れの相手方の氏名又は名称,課税仕入れの年月日,課税仕入れに係る資産又は役務の内容,課税仕入れに係る支払対価の税額等を記載した帳簿及び書類の作成者の氏名又は名称,課税資産の譲渡等の年月日,課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容,課税資産の譲渡等の対価の額,書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称等を記載した請求書等を保存している場合に限り認められるものであるところ(消費税法30条7項ないし9項),前記前提事
実(3)記載のとおり,fは,本件調査担当者からの再三の提示要求にもかかわらず,cに係る帳簿書類等の提示に応じなかったのであるから,原告は,上記帳簿等を保存していなかったと推認することができ,また,保存することができなかったことについて災害その他やむを得ない事情の証明もないから,消費税額の計算において,cに係る仕入税額控除を受けられないとしてもやむを得ないというべきである。
(2)本件消費税等加算税賦課決定処分の適法性について
前記のとおり,本件消費税等更正処分は適法であり,原告が本件消費税等課税期間の消費税及び地方消費税を過少に申告していたことについて,国税通則法65条4項に規定する正当な理由は見当たらないから,同法65条1項及び2項の規定に基づいてした本件消費税等加算税賦課決定処分も適法である。
5結論
以上の次第で,本件各処分(異議決定による一部取消後のもの)はいずれも適法であって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。

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但し依頼する前にきちんと成功報酬の代金を確認しておくこと。
悪徳業者の場合、法外な報酬を請求する場合があります。
そういった弁護士事務所を避けるためには、まずは料金を確認してから契約を締結することです。
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